新作「CODA」の動画トレーラー、第10回目は、岡崎好朗さんのトランペット、村田陽一さんのトロンボーン、そして小池修さんのEWIをフューチャーした「その先に見える風景」です。

参加メンバー
Trumpet: 岡崎好朗
Trombone: 村田陽一
EWI:小池修
Gt:道下和彦
Dr:岩瀬立飛
Per: 安井源之新
Voice:納一会

この「納一会」というのは、「納浩一の一回目の会合」なんていう意味ではなく、「おさむいちえ」という、僕の孫の名前です。
僕の長女の子で、僕にとっては初孫なんですが、長女夫婦が「一期一会」から取った「一会」という言葉を名前に当てたということです。その孫の姿は、メーキング動画の最後にちらっと映っています。でもこの声を収録したときから既に半年以上が経ち、もう別人のような成長ぶり。これくらいの年齢の子は、半年経つともうすっかり成長してしまうので、いまは、このアルバムのときよりも、もっとしっかり言葉を喋っています。

それはさておき、このタイトルは、音楽の中でジャズの歴史の流れを表現しようと思い、付けたタイトルです。その時代時代で、ミュージシャンはどんな先の風景を見ていたのか、あるいは見えていたのか、というようなことをイメージして作った曲です。古いスイング時代、いやもっと言えばその前の、ジャズのルーツであるアフリカの頃の雰囲気から始まり、スイング〜モード〜フュージョンと時代が進んでいくという変化を、リズム、ハーモニー、使用楽器、サウンド等々といった要素を使って表現してみました。そして最後は孫の声を入れることによって、ジャズがこの先、どこに向かって進んでいくのか、いやジャズだけではなく音楽全般、もっといえば孫の世代にとってどんな未来が待ち受けているのかというようなことを、1曲のなかで表現してみようと思いました。

最初は、トランペットとトロンボーンのソロのあとに一度、最初のテーマに戻るという、ジャズでは王道の構成を考えたのですが、それでは時系列を戻ってしまいます。そこで思い切って、それらのソロのあとに、橋渡しのテュッティのセクションを挟んでから、一気に小池さんのEWIの世界に進めることにしました。でもその思い切りが良かったように思います。きっと初めて聞いた方には、「え、なにこの展開?!」と感じるかもしれませんが、人が想像のつかないような展開にしてみたいという作曲の意図があります。それは、このアルバム全体を通してのコンセプトでもあるので、きっとこれで良かったんだと思っています。

小池さんのEWIでの演奏については、僕のホームページにある、このアルバムの詳細な解説のところで詳しく触れていますので、是非そちらを読んでいただきたいのですが、とにかくEWIという楽器がこんなに素晴らしい世界を作ることが出来る楽器なんですね。もちろんそれは小池さんの力量に依るところが本当に大きいのですが、とにかく僕は感動しました。そのEWIの音と孫の声が見事にブレンドされ、そこに遠くから鐘の音が聞こえてくる。子供達の未来が、そんな愛と喜びに満ちた世界になって欲しいと祈らずにはいられないのですが、昨今の世界情勢を見ていると、そう簡単ではなさそうです。このアルバムを、この曲のそういったメッセージで終わらせられれば良かったのですが、結局次の曲、「うつろう」を入れざるを得なかったという昨今の世の中。誠に暗澹とした気持ちになってしまいます。

ま、それはさておき、またしてもEWIという楽器に目を付けた納浩一に、ザブトン1枚!

CODA /納浩一 - NEW ALBUM -
納浩一 CODA コーダ

オサム・ワールド、ここに完結!
日本のトップミュージシャンたちが一同に集結した珠玉のアルバム CODA、完成しました。
今回プロデュース及び全曲の作曲・編曲・作詞を納浩一が担当
1998年のソロ作品「三色の虹」を更に純化、進化させた、オサム・ワールドを是非堪能ください!