質問 サムポジションのフレーズについて
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サロンに、以下のようなご質問をいただきました。
少し長くなりますが、ご質問の性格上、全文を掲載しておきます。
問:
納さん、みなさん、こんばんは。
今日は私がビッグバンドで演奏する予定の曲について相談させて下さい。
The Vanguard Jazz Orchestra の Don’t Even Askという曲です。

譜面とYoutubeのリンクを貼ります。

とても格好良い曲なのですが、私にはかなりハードルが高く、苦戦しています。
苦戦しているのは以下2点です。

①冒頭のサムポジションのフレーズ
②中盤のベースソロのコード進行(譜面174小節目から)
①については、納さんにアップロードして頂いたCからGまでの2オクターブの上昇下降の練習(まだE♭までですが…)を少しずつやっているおかげで、左手の親指で押弦することにも慣れてきており、この曲のフレーズも、ゆっくりのテンポならなんとかできるようになりました。

最初のE♭の音はエレベで言うところの3弦6フレット(人差指)から弾き始めているのですが、それでは譜面の7小節目のフレーズの高いB♭に行くためにはどうしても素早くポジション移動をしなければならず、リスクがあるように思います。従いまして、最初のE♭の音を4弦11フレットから始める方が良いように思うのですが、親指で4弦を押さえるのが大変で、、これから練習しようかと思っています。
納さんならこのフレーズ、どうやって弾きますか?
上記の考え方以外の方法がありましたら教えて下さい。
②についてはいわゆる枯葉やAll The Things You Areのようなツーファイブ系ではないので、どんなスケールが使えるのかよくわからない状況です。とりあえず音源のソロをコピーしてみようと思います。でも、バンドのメンバーにも少しはアドリブで演奏している姿を見てもらいたいと思うので、このコード進行についてどう考えて行けばよいのかアドバイスいただきたいと思います。
ちなみにこのソロ部分以外にもsus4がたくさん出てきますが、ライン作りはロンカーター方式を研究してみようと思います!
本番はまだまだ先になる予定です。せっかく納さんにお伺いできるので、時間を掛けて研究してみようと思います。
よろしくお願いします。

答:
Moritaさん、ご質問、ありがとうございます。
早速お答えしましょう。
①冒頭のサムポジションのフレーズ
テーマのメロディですが、これは確かにかなりハードルが高いといえます。
このJim McNeelyという人の書くチャートは、僕も何度も演奏したことがありますが、本当にかっこいいんですが、難しいものが多いですね。
このテーマの部分も、おっしゃるとおり、相当ハードルが高いといえます。
僕も様々な角度から運指を考えて、自分でもそれを弾いてみましたが、実際かなり練習が必要だと感じました。
でもそれだけに、大事なことは、とにかく一番合理的なポジショニングと運指を考えることかと思います。
この曲のように、かなり難易度の高い、そう、例えば「Donna Lee」や、ランディ・ブレッカー作曲の「Not Ethiopia」のようなを曲をベースで弾く場合には、どういったポジショニングと運指で弾けばもっともスムースに弾けるかを、徹底的に研究する必要があります。
このお話は、きっと、このサロンに参加されている、アコースティックベース奏者のみならず、エレクトリックベース奏者の方にも、大いに参考になるのではないかと思いますので、是非サロンの皆さんも参考にしてみてください。
ということで、ポイントを挙げながら解説したいと思います。
僕が書いた譜面1)を見てください。
まず、その譜面上にある数字に関してご説明しておきますね。
オタマジャクシの上にある数字は、その音を押さえる指を指示しています。
それは以下の通りです:
1:人差し指
2:中指
3:薬指(高音域にしか出てこない)
4:小指
+:親指(高音域にしか出てこない)
そして下の、括弧線の下にある数字は、これはジャズライフで長年続けた僕のスタンダード講座の時と同じように、ポジショニングを指示しています。
それは以下の通りです:
Half:エレベでいうところの1フレットに人差し指があるポジション(今回は出てきません)
1:エレベでいうところの2フレットに人差し指があるポジション
2:エレベでいうところの3フレットに人差し指があるポジション
以下同様で、数字に対して、それに1を足したものが、エレベでいうところのフレットに人差し指があるポジションに該当します。
例えば、2小節目に「4」とありますが、その場合は、4+1=5で、人差し指が、エレベでいうところの5フレットにあるというポジションになります。
そして、最初のEbの音の上に「2」とありますから、これらの数字をあわせて読み解くと、「3弦のEbに音(それはエレベでいうところの6フレットにあたります)を中指で弾く」という指示だと思ってください。
1) 2および6小節目のEbの音のポジショニングに関して
これはやはり、3弦からのスタートが良いかと思います。
Moritaさんのおっしゃる、4弦(エレベでいうところの11フレットの場所)でのEbは、アコースティックベース奏者の常識で考えると、100%、いやそれ以上の割合で、よほどの特別なアイデアの場合以外は、使用することの絶対無いポジションです。
自分自身に関していうなら、そのポジションを使う場合というのは、4弦と1弦でのダブルストップでの10度の音程を平行移動させて行くといった、特殊な場合のみといっても過言ではありません。
ということで、4弦のその辺りは、全く使わないと思ってください。
なぜそのポジションを使わないかというと、まず演奏上、アコースティックベースでその当たりを弾くのは困難極まるからです。普通の日本人ならまず指がうまく届かないと思います。
ですから、もちろん音程も正確に定まりませんよね。
そしてそんな大変な割には、音が良くないんです。楽器の特性上なのか、演奏の困難さからなのか、とにかくその当たりはあまりいい音がしません。
そういった理由から、その当たりのポジションを使うことは通常、無いと思っていただいて結構です。
では、Moritaさんの指摘される、譜面の7小節目に現れる高音のBbの音への移動は、どのように対処しましょう?
これは、ごらんのように、7小節目の最初にある8分休符の隙間を使って移動するといいと思います。
普通なら、6小節目の4拍目のフレーズ、EbとFが、そのまま7小節目にもありますから、同じポジションで弾こうと考えるでしょう。でも、この同じ音を、その次に来る高音域への移動に備えて、別のポジションで弾くというのがみそです。
しかも音飛びの時にはとにかく休符による隙間を使うというのも、もう一つのポイントです。
こうすれば、ほんのちょっとの時間ですが、移動に余裕が出来ますよね。
2) 高音域での親指「+」のポジショニング
10小説目以降は、15小節目までは、親指を使った高音域の運指となります。
そのため、各所に「+」の運指が出てきますよね
ここでポントとなるのが、15小節目です。
普通親指の「+」のポジショニングは、エレベでいうところの12フレットからと思い込んでいる方が多いと思います。
当初、僕もこの譜面のフレーズのポジショニングを考えるとき、すべてそのポジションで弾くように考えました。(すると、下の数字はすべて「11」になるはずです。)
が、何度も練習しているうちに、15小節目は、親指がその半音下、エレベでいうところの11フレットにあるポジショニングの方がいいということに気づきました。
特に2番エンディングの、17小節目の3・4拍目のフレーズが、18小節目の1・2拍目に平行移動するところがより弾きやすくなるなることに気づきました。フレーズがそのまま平行移動しているのですから、運指もそのまま半音ずらせば良いわけですからね。
ということで、これも重要なのですが、親指で弾く「+」の場合のポジショニングを、必ずしもエレベでいうところに12フレットからと思い込まないということです。
3)16小節目の、下への音飛び
15小節目までは高音域での親指を使った運指ですから、16小節目もそのままのポジションで弾きたいと考える人もいるでしょう。
しかし先ほどの理由で、特に16小節目のF#の音は、4弦で弾くには問題があります。
しかし、音飛びするには、そのための隙間である休符もありません。
そこで考えたのが、16小節目1拍目のDの音を、2弦12フレットのハーモニックスで対応するという方法です。
ハーモニックスにしておけば、ずっと押弦していなくても、音は持続してくれますよね。
ということで、ここはハーモニックスを使うことによって、移動の隙間を作るという方法しか無いと思います。そして一気に、第1ポジションまで移動するのですが、これとて、決して簡単ではありません。
その他、ポイントとしてあげれば、すべての音をきっちりと弾こうとする必要は無いということです。
中には、捨てざるを得ない音、すなわちその音をしっかり弾こうとしてポジション移動に遅れが出たり、その音に続く音がうまく弾けなくなってしまうというような音は、もう最初から弾かない、あるいは必要以上にきっちり発音することを諦めるということもあっていいと思います。
例えば11小節目2拍目裏のBの音などはそれにあたるかもしれません。
そういった、各音の必要性の優劣を、事前の勉強できっちり見つけ出しておくことも大事かと思います。
こんなポイントを意識しつつ、もう一度自分で運指やポジショニングを考えてみてください。
②中盤のベースソロのコード進行(譜面174小節目から)
ソロに関してですが、このソロは、これまたMoritaさんがおっしゃる通り、ツーファイブは一つもありません。そういう意味ではモード曲ですね。
しかも様々なモードが、何小節にも渡って出てきますから、まるでスケール練習のような曲といっても良いでしょう。
モード曲の場合、その一つ一つのモードに対してどのようなフレーズを弾くか、あるいはどのようにストーリー展開するかというのは、これはもう何の決まりもありませんから、いろんなソロを研究して、そのことを勉強するしかありません。
ということで、ここでは、譜面上表記されているそれぞれのコードに対して、それをどのように考え、どんなスケールを使うかということに関してお話しします。
譜面2)を見てください。
元々書かれてあるコードに対して、僕が様々なコードを書き込んでいます。
これは、結局どちらのコードで考えても同じであることを示しています。
例えば、一番最初のD7(b9)ならば、そのスケールはalteredかCom.Dim.となります。
このコードに対して、この部分には特段のメロディはないのですから、ソリストはどちらのスケールを選択しても、それはソリストの自由といえます。
そこで、もし仮にDのAlteredを選択すれば、その構成音はAbのLydian b7と同じとなります。
もしMoritaさんにとって、「DのAlteredは苦手だが、AbのLydian b7ならなんとか弾けそうだ」ということであれば、そのように読み替えて良いわけです。
もっといえば、ベーシストは「D7」と書いてあると、どうしてもDの音を中心に物事を考えがちです。
そんな悪癖を絶つには、「ああ、D7のAlteredね。じゃあ僕はAbのLydian b7を弾こう!」と考えた方が、遙かにサウンドはかっこよくなります。
まさに、「バンドのメンバーにも少しはアドリブで演奏している姿を見てもらいたい」という希望にぴったりとはまるサウンドが得られると思いますよ。
以下、同じように、どのように読み替えることが可能かということをそれぞれのコードに関して、様々な代替案を表記しましたので、それを参考にして、自分にとって一番慣れ親しんでいるコードに読み替えて、それでアドリブを研究してみてください。
でもはっきり言って、このソロもかなりハードルが高いといえます。
このソロで、きっちりストーリーを作りながらいいソロを取るというのは、もう本当に上級者でないとという感じですね。
頑張ってくださいね!

CODA /納浩一 - NEW ALBUM -
納浩一 CODA コーダ

オサム・ワールド、ここに完結!
日本のトップミュージシャンたちが一同に集結した珠玉のアルバム CODA、完成しました。
今回プロデュース及び全曲の作曲・編曲・作詞を納浩一が担当
1998年のソロ作品「三色の虹」を更に純化、進化させた、オサム・ワールドを是非堪能ください!