「こんな曲をコピーしました!」My Foolish Heart by ジョージ・ムラーツ

「こんな曲をコピーしました!」の第9回は、もう何度も取り上げましたが、またまたジョージ・ムラーツのソロを取り上げたいと思います。
曲は、これまた以前、「お勧めアルバム」のコーナーで紹介した、ジョン・アバークロンビーの「Straight Fright」というアルバムに収録されている、スタンダードでおなじみの「My Foolish Heart」です。

参考音源

このYouTubeのものは、このアルバムすべてが収録されていますので、この「My Foolish Heart」は2曲目となっています。
曲自体は7:00から始まり、ムラーツのソロは9:13あたりから始まっています。
この演奏を始めて聞いたのは、おそらく21歳くらいの頃、まだアコースティックベースを始めて2年目くらいだったかと思います。
その頃僕は、もうたいそうジョージ・ムラーツにはまっていましたが、そんな中で知ってのがこの曲のこのソロでした。
特にその頃は、本当にバラードの演奏が苦手で、一体バラードのソロというのは、いやバラードの演奏そのものが、どのようにすれば素敵になるのかがさっぱり判りませんでした。

そういう意味では、未だに思うのですが、素敵なバラードが演奏できるようになれば、ミュージシャンとしてある域に達したと言えるのではないでしょうか?
でもまだアコースティックベースを始めて2年目ですから、その頃の僕は本当にバラードの「バ」の字も演奏できないようなレベル。
そんな僕の脳天を打ち砕いたのがこのソロでした。

その当時はまだ高音域な全く弾けないレベルだったのですが、このソロはそんな僕のレベルなどお構いなしで、最低域から最高域まで、もう一気に駆け上がったり駆け下りたりで、正直言って手も足も出ないような内容でした。

でもとにかく音だけはしっかり取っておこうということで、頑張って採譜しようと思い立ったのですが、実際コピーしてみてびっくり!

複雑な音符やリズムのオンパレードで、そのフレーズが一体何連音符で、どこが頭でどこで終わっているのかというようなことが、全く取れません。
でもそれもそのはず、ムラーツ自身が、実に自由に唄っていて、いわゆる割り切れるような音符にははまっていないんですね。

彼はチェコの生まれで、16歳までは本国で、クラシックをバリバリに演奏していたそうです。
そんなことも、この自由自在な唄い方に出ているのだろうと思います。
(実は彼もそこからバークリーに留学したので、その意味では僕の先輩に当たります!)

まあとにかく、ここまで自由に唄われると、本当に参ってしまいます。
譜面を見ながら聞いてもらえると、その辺りがよくわかるかと思います。

(譜面は有料となっています。あしからず。)

譜面に関していうと、バラードということもあり、なんと32分音符などという、普通のベースの譜面ではまずお目にかかれないような音符だらけとなっています。
そんなこともあって、この譜面では、1段に1小節というような部分もあちらこちらにあります。
そういう箇所では、1段に2小節いれると音符が詰まりすぎてしまって、譜面自体がオタマジャクシで真っ黒けになって、一つ一つのオタマジャクシが判別できなくなるからです。

でも大学の頃に採譜した譜面を、こうやって改めてコンピュータによる綺麗な譜面に清書しなおしてみると、それはそれは綺麗な譜面にし甲斐のある内容でした。
綺麗になった譜面を見て、我ながら惚れ惚れします!

でも実は、その頃採譜した内容とは、かなり違っていました。間違いではないのですが、譜割りや音使いなど、やはり当時では聞き取れていなかったことが本当にたくさんあったんですね。

その意味では、こうやって40年近く、その譜面をちゃんと手元に残しておいて良かったと思います。
このソロは、当然大学生の時は全然弾けなかったのですが、それから8年ほど経って、バークリーを卒業しようかというころに、もう一度再挑戦してみました。
大学生の頃は、このムラーツが弾いている音域より、1オクターブ下でしかトライできなかったのですが、さすがにバークリーも卒業する頃になると、とりあえずは、同じ音域で弾けるようにはなりました。
そして今回、そこからさらに30年ぶりの再挑戦しようと思い立ったのです!
こんなコロナのおかげで、このソロにもう一度チャレンジする気持ちと時間、チャンスが出来たことに、ある意味感謝しています。
その動画を添付しておきますので、見てみてください。

https://www.facebook.com/osamukoichi/videos/2867471086813841/

そういえば、最近、サロンで「そっくりさんは誰だ!」の企画をしたことも、このソロを自分で演奏して見ようと思い立った大きな要因でした。
参加していただいた皆さんがしっかり、ポール・チェンバースの「C Jam Blues」を勉強されているんですからね。僕も負けずに何かしないとという想いでやってみました。

このソロに関して触れておきましょう。
本来、この「My Foolish Heart」という曲は、Bbで演奏されることが多いのですが、このテイクでは、おそらくギターがリーダーということで、ギターのサウンドに合うように、Gのキーで演奏されています。

コード進行的には、それほど大きな変化はありません。
ムラーツが先発でソロを取っているということから、おそらくムラーツをフューチャーしようとしたのではないかと思います。

でもこのムラーツのソロを聴いていると、それのよくわかります。
もう圧倒的なソロですから。どこをどう切っても美しいし素晴らしい!

僕にとっては、このアコースティックベースでの「My Foolish Heart」のソロと、マーカス・ミラーのエレクトリックベースによる「Lover Man」のソロがバイブルとなっています。

その2つの音源のおかげで、僕もなんとかバラードのソロというものがわかったような気がしています。
ま、それはさておき、このソロでいうと、途中で出てくるコンディミのフレーズの使い方も絶妙ですし、その他、ブルーノートの使い方、アルペジオの分散フレーズの使い方、ニュアンスの付け方など、どれを取っても参考になることばかり。

還暦前に再びこのソロと向かい合えて本当に良かったと思います。
また5年分くらいのエキスといただいた感じがします。
いや~、まさに「こんな曲をコピーし」ておいて良かったと思います。

譜面は別途課金制となっています。

このコラムでのベース譜を制作しました。
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