まず最初に言いたいことは、多くのジャズミュージシャンはなぜ日本人なのに不得意な英語を使って、自分が愛を込めて生み出した我が子ともいえるような楽曲に英語のタイトルをつけるのでしょう? 

例えば自分の娘に「メリー」って命名しますか? 
例えば我が子でいうなら、「納 芽理」(これ、無理矢理の当て字です!)ですか?
せめて「芽理」に、例えばなにか仏教的な意味でもあれば納得しますが、「いや~、メリーって良い感じじゃん? アメリカっぽいでしょ!」じゃ、つけられた娘も困るでしょ?

これは曲のタイトルにかかわらず、車の車種や、冷蔵庫やTVの白物家電、携帯やスマートフォンなどあらゆるものにいえると思います。
まあ、それがかっこいいと思っている、いや、もはやそれが当たり前になっているのが今の日本なんでしょうね。
突然Docomoの新しいスマートフォンが「飛鳥」だの「飛翔」なんて名前だったら、「えっ、これって中国か北朝鮮製?」なんて思ってしまうんでしょう。
英語でネーミングすることが、かくも当たり前になっているこの日本では、ましてや英語圏から来た音楽であるジャズの曲のタイトルが英語であることも当然か。

でも僕はやっぱり違和感があります。
とにかく何か日本語でタイトルをつけたいと思っていますし、今まで可能な限りそうやってきました。
ちなみに僕のオリジナルの日本語でのタイトルのものを挙げておきます。
「南京への道」「おやすみ」「三色の虹」「イエティの足跡」「春風駘蕩」「月降る浜」「雨後の風」「暑い夏の冷たい涙」「虹の行方」等々。

確かに日本語でタイトルをつけるのは難しいです。
特に僕のような、国語も不得意で、幼少期から本もあまり読んでこなかったものにとっては、あまりに語彙が無いので、実に困難を極めます。
でもやっぱりタイトルは日本語にしたいですね。
つまらないこだわりかもしれませんが、そんなところにも日本人としてのアイデンティティ(おっと、これも英語を使うのはどうなんでしょう? なんて考え出すとほんと難しい問題ですね!)が出ると思います。

ジャズを日本語で歌うということは、皆さん、どう思われますか?
やはり無理なんでしょうか? 
「ジャズは英語にしか乗らない、少なくとも日本語では無理」という考え方があります。
確かに本当の意味でのジャズは、きっと英語で歌うしか、そのグルーブやフィールがキャッチ出来ないんでしょう。
でも今回のオリンピックの柔道がそうであり、僕の大好きにサッカーがそうであるように、「局所的な、その地域独自の解釈による発展というものもあって良いのでは?」と思っています。
日本独特のジャズ、いやもっといえば、日本語によるジャズがもっとあってもいいんじゃないでしょうか? 
そうやって再びジャズが日本の大衆音楽の中に、あるひとつのポジションを作る日が戻って来てくれればいいなって思う今日この頃です。

もうひとつ、以前にもどこかで書いたのですが、数字のコンマの打ち方。
これもあまりに英語圏的で納得いきません。

今コンマは三桁ずつ打ちますよね? 
たとえば一万円は「¥10,000」です。これは英語圏的にいうなら「Ten thousand」でわかりますが、日本人なら絶対「¥1,0000」でしょ? だって日本って4桁ずつ変わる数え方ですから。
まだこれは分かりやすいですが、たとえば1億円は、英語では「¥100,000,000」、すなわち「1 hundred million」。
でも4桁表記なら「¥1,0000,0000」です。
さて、どちらが見易いですか?
まあ、ビジネスもグローバル化しているこの世の中、4桁表示では海外との決算などで支障が出るのか分かりますが、少なくとも僕が出す請求書くらい、4桁表示でも良いでしょ?(実は僕はそうやっています! ほんのちょっと闘っています!)

あと名前の英語表記。中国や韓国では英語表記もかならず苗字が先、名前が後ですよね?
 僕の名前なら「Osamu Koichi」です。
でも日本だけは「Koichi Osamu」です。
中国や韓国が、しっかり自国の文化に沿っての表記をしているのに、なぜ日本だけ??

まあ、数字や名前の件は百歩譲りましょう。
でもせめて、自分の愛するオリジナルのタイトルくらい日本語にしませんか?
まあ、すべてとはいいませんが。
あるいはあなたが、英語の方が日本語より自分を表現しやすいというのなら納得します。

こんなところにもジャズの衰退の一因があるのかなって思うのは僕だけでしょうか?

たしかに日本のジャズのガラパゴス化というのは一方にあります。
そのことに関してもいいたいことは山々ですが、でも良い意味での独自性を持つと言うことも大事なんじゃないかなって思います。

如何でしょうか? 
みなさん、どう思われます?

CODA /納浩一 - NEW ALBUM -
納浩一 CODA コーダ

オサム・ワールド、ここに完結!
日本のトップミュージシャンたちが一同に集結した珠玉のアルバム CODA、完成しました。
今回プロデュース及び全曲の作曲・編曲・作詞を納浩一が担当
1998年のソロ作品「三色の虹」を更に純化、進化させた、オサム・ワールドを是非堪能ください!