「覚悟を決める」という前回のブログ、数人の方から「気に入ったよ!」という言葉を頂きました。口先男にならないよう、本気で取り組んでいきたいと思います。

この1月くらいになると、大学でのレッスンは、卒業を控える4年生を中心として、もっぱら人生相談の様相を呈してきます。
そりゃそうですよね。入学のときは「俺は音楽で食ってやる!」なんて意気込みに燃えていた若者も、卒業を控え「僕、本当に音楽で食っていけるんでしょうか??」って不安で、夜も眠れない状態に陥っていても不思議ではありません。
そんな4年生達から「納さんはなんでプロになれたんですか? 迷わなかったんですか?」というような質問や、「僕はこのまま音楽を続けていても大丈夫でしょうか?」なんて質問が、僕に投げかけられるのも、これは致し方ないこと。

ツイッターなどでも書きましたが、実際たったこの10年ちょっとを振り返っただけでも、音楽を取り巻く状況、特にジャズを生業として考えたときの環境、少子高齢化が進み借金ばかりがどんどん増えるこの国の状況、ひどくなる一方のこの国の文化的状況などなど、不安材料は増えるばかりです。
僕がバークリーから帰国した88年はまだバブルの後期。ジャズクラブの仕事も、スタジオワークや営業の仕事もあったし、またミュージシャンの仕事として最も安定した収入となっていた、学校で教えるという仕事も、今から比べると比較にならないくらい有りました。
それがいまや、ギャラ制のジャズクラブは都内にすらもう数件、スタジオワークは、スタジオミュージシャンという言葉が死語となるくらいに壊滅、営業の仕事はこの不景気でとんと無い。教えるという仕事も、音楽大学におけるジャズコースの乱立と、その先の未来が見えない日本のジャズの現状の影響で、学生は減る一方(ちなみに我が大学でいうと、最近出来たロック&ポップス科は逆に大盛況らしいです。これも時代ですね。)。「困ったときのレッスン頼み」も、あきらかに過去の遺物と化してしまいました。

これらの状況を鑑みて、「いや、こんなところであきらめるな! 頑張れば何とかなる!」なんて無責任なこと、とてもいえません。
「そうやなぁ、まあ、悩むくらいやったら、辞めといたほうがいいんちゃうか?」というのが正直な答えでもあります。
実際、多くの生徒が音楽の道を断念し始めているのも事実。

ただこのことは言いたいんですね。「たった一度だけの人生、やりたいことをやるほうが楽しいいぞ!」って。
僕の大好きなサッカーでも、多くの若者がプロを目指して頑張っています。その数たるや、きっと音楽の比ではないんじゃないかとさえ思います。その中で実際J1やJ2のチームに入り、レギュラーを続けられるものが、はたして何%いるのか。
そしてサッカーや音楽に限らず、どんな仕事でも、本物のプロになれるものなど、その職種の中でもほんの数%しかいないんじゃないでしょうか。でもやっぱり何かにトライしている若者の姿というのは、見ていても本当に素敵です!

もうひとつ、人生の先人としていいたいことが有ります。僕の好きな考え方なんですが、「やらない後悔よりやった後悔のほうが遥かに良い」というのがあります。音楽の道を断念して、とりあえず就職するというのは確かに手堅い人生だと思います。でもここで音楽の道をあきらめて、今まで追求してきた音楽から、人生の本質を知ることや生きていく上での哲学がなにか得られたのでしょうか?

僕は失敗しても良いから、トライする方が好きです。そしてまた、物事の真理は失敗からしか学べないとも思います。
「ドーハの悲劇」があったからこそ、フランス大会の出場があったわけですし、そのフランス大会やドイツ大会での1次リーグにおけるふがいない戦績があったからこそ、南アフリカ大会の2次リーグ進出があったんだと思います。(すいません、どうもサッカーの話とくっつけたくなる癖がありまして)
とにかく、失敗の検証と分析なしに、その先の成功はあり得ません。

ただこの国の悪いところは、一度人生に失敗すると、再チャレンジしにくいシステムになっているというところですよね。就活浪人の合格率が一気に下がる、的な。

ということで、もちろん無責任なことをいうのは良くないですが、逆に無責任ついでにいうなら、「人生、一度くらい勝負かけてみろよ!」です。
その勝負も1年や2年で答えの出るような生半可なものじゃなく、せめて10年くらいは、それにかじりついて真剣勝負してもらいたいものです。
そうすれば、たとえ目標が達成できなくても、そこから必ず何か人生のヒントになるものが得られると思うんですが。
また逆に、中途半端なあきらめ方をしたら、この先も同じような結果を繰り返すようなことになりかねないと思ったりもします。

前回は僕自身が、プロとしてこの音楽の道でやって来て50歳を超え、改めて覚悟を決めるというお話でしたが、今回は、これからこの音楽の道でやっていきたいというような若者達に、「覚悟を決めて人生の最初の岐路に立ち向かって欲しい」というお話でした。
無責任ですいません。
でも皆さん、頑張ってくださいね! 

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