この、コロナ前の2019年の投稿は、僕がやっているインターネットサロンへの質問の回答です。
4年も前のことですが、この回答をした時は、まだ世界はコロナ以前だったんですね。

それから、少なくとも僕や僕を取り巻くジャズシーンの状況が、この頃よりはるかに悪くなりました。もちろん、それは僕の目を通して見ただけのことなので、必ずしも日本のジャズシーン全てがそうだということではないかもしれません。

いずれにしても、この2019年当時より、ジャズを志すということ関していうと、さらに厳しさをましているのだろうと感じます。だからこそ、その本気度が問われるということでしょうね。
ところでこの投稿には、これまでになんと800件を超える「いいね」をいただいているようです。本当にありがとうございます。
ということで、4年ぶりに再投稿してみます。

まだ読んでない方は、一読してみてください。
よろしくお願いします。

でもこの投稿をされた方、その後どうされてるのかなぁ? プロを目指して頑張ってらっしゃいますか?

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2019年8月20日
サロンへの、匿名でのご質問です。
「こんにちは。
ちょっと記名では訊きにくい内容なのでこちらで質問しました。
プロのベーシストをめざしていまして、ミュージシャンとお金のことについてお尋ねしたいです。

1) 納さんと周りのミュージシャンのギャラ設定および交渉ってどんなかんじなんでしょうか?
例えば森山良子さんやJUJUさんなどのポップス畑経由のプロジェクトと、納さんクラスのミュージシャン同志のバンド的なプロジェクト(例えば アコースティックウェザーリポートやEQなど)との違い。
2) また納さんの場合はアコベとエレベの両方使う場合ですと、車移動になると思いますが、その際の、駐車場や交通費も別で請求するのか。
3)リハーサルが発生する場合のギャランティーの算出って?
4)レコーディングのみの場合のギャラは1日拘束計算なのか?
以前はベーシックなギャラ+1テイクいくらとかだったという事も聞いたことあります。
5) ポップスとジャズの違い、また納さんがプロになったときと今ではどう違うのか?
などいろいろ書きましたが、今後の励みになるのでお答えできる範囲でできればありがたいです。」

今回もまたとってもおもしろい質問ですね。
アマチュアの方で、しかもプロを目指しているとなると、プロのギャラのことって、とっても気になりますよね。
ではさっそくお答えしましょう。
とはいえ、あまりはっきり答えてしまうと、いろんな方面に支障も出るかもしれませんので、具体的な金額に関しては、差し障りのない程度のお答えしか出来ませんのであしからず。

まず 1)に関して。
ポップスの場合、特に森山良子さんやJUJUのような、もう誰でもその名前を知っているようなアーティストの場合、やはりジャズとは比較にならないくらい、良い条件です。
一般的にコンサートのギャラは、スタジオでのレコーディングの1時間のギャラx10時間拘束と考えるようです。
僕が東京に来たすぐの頃は、新人ランクだったので、1時間1万円でやっていたのですが、10年ほど経ってちょっと上げました。ですので1回のコンサートでもし満額もらえれば、一日10万円近くという事になりますが、あとはそのア−ティストの事務所からの提示次第。まあ、昨今そんな良いギャラの仕事は滅多にないんじゃないでしょうか。
それと、リハーサルは本番の半額というのが基本です。でもこちらも当然、そんな良い条件は滅多にありません。
で、そのランクという意味では、確かスタジオミュージシャンの最高額は15000円だったように思います。
それ以上になると、ゲストプレーヤー扱いで、ギャラは1曲うん十万なんて額になる人もいるようです。例えば、ロン・カーターとかマーカス・ミラーですね。
ではジャズはどうかという話をしましょう。

まず都内でのライブに関してですが、昨今はどこもチャージバック(いわゆる入ったお客さんの数に応じての歩合制ですね、で、もらった全額をその日のメンバーで均等に割るのが一般的です)か、よくても最低保障で一人数千円くらいというような感じです。
なかなか厳しいですし、これは僕のようなおっさんでも、新人でも同じ条件です。
そんなことなので、多くのジャズ・ミュージシャンが、地方にツアーに出るというようなことが多いのですが、地方とてそんな良い状況ではありません。
でもEQやアコースティックウェザーリポートの場合は、いくらもらえるかも大事ですが、それよりも、「これが俺たちの音楽だ! 聞いてくれ!」という想いが強いので、なんとか成立しているということですね。

では2) に関して。
これも、結局は全体の予算によりますから、ポップスの場合はもちろん交通費は出してもらえます。
その昔は、新幹線ならグリーン車なんてこともありましたねぇ。
ジャズの場合では、それこそ渡辺貞夫さんクラスでないと、そんな特別待遇は望むよしもありません。
普段は、楽器は全て自力で運びますし、交通費ももちろん基本は自腹。駐車場代ももちろん自分持ちですから、都内のライブで1万数千円もらったとしても、交通費と駐車場代を払えば、さて一体手元にいくら残るかはご想像にお任せします。
これが実情です。ましてや地方に出たら、ホテル代までかかりますからね。いやはや、です。

3) に関して。
リハーサル代に関しては、ポップスに関してはお話ししたとおり。ジャズの場合はもちろん自腹です。だからジャズ系ライブでは、リハーサルまでするというのは、よほどの場合しかあり得ません。それこそ、CD発売記念ライブとかジャズフェスへの出演とか。大抵は、事前に資料をもらって、あとは当日お店に集まってから簡単に、ですから、やはりあまり多くのことは望めません。これが実情です。

4) に関して。
これは既に述べたとおりですが、昨今では、どのレコーディングも予算が少ない状況でやっています。でもお金じゃなくて、経験が積めることだったり、創造的な音楽制作に参加できるというようなことの方が大事だと考えるようにしています。

5) ポップスとジャズの違いは、もう十分分かって頂けたかと思います。
いずれにしても音楽全体を取り巻く環境は、僕が東京に出てきた頃よりは、遥かに悪くなっていますし、また年を追うごとに悪くなっています。
だって、ほとんどの人はCDを買わないし、またコンサートやライブに行く人もどんどん減っていますよね。そして、YouTubeを見れば大抵の映像は見ることができるわけですから。
こうなってくると、もう、これは食えるとか食えないとかという次元の話ではなく、音楽が好きか嫌いか、演奏が好きか嫌いかという次元の話であり、プロだのアマだのなんていう境もほとんど意味を成さないことかと思います。

プロを目指していらっしゃるということですが、大事なことは、どれほど逆境に耐えられるか、そしてどこまで続けられるか、そしてそれほどまでに音楽が好きかどうか、そんなことが本当に問われる時代であることは間違いありません。
頑張ってくださいね!

CODA /納浩一 - NEW ALBUM -
納浩一 CODA コーダ

オサム・ワールド、ここに完結!
日本のトップミュージシャンたちが一同に集結した珠玉のアルバム CODA、完成しました。
今回プロデュース及び全曲の作曲・編曲・作詞を納浩一が担当
1998年のソロ作品「三色の虹」を更に純化、進化させた、オサム・ワールドを是非堪能ください!