ペンサ・サーが帰ってきた!四方山コラム
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四方山コラムも回を重ねて17回目となりました。
今回のお題は、「ペンサ・サーが帰ってきた!」です。
僕のHPに、まだこの楽器が僕の手元にあった頃に書いた、この楽器の紹介が残っていたので、それをまずは載せておきましょう。
以下のような紹介文です:
「2005年の暮れ、インターネットでネットサーフィンしながら、中古楽器に関しての情報を何となく探していたときに、とある楽器屋さんのサイトでヒットしたのがこの楽器でした。
とにかくすぐに電話して押さえてもらい、新年早々迷わず買ってしましました。
というのも、僕の生徒がペンサ・サーのベースを持っていて、レッスンの時に聴いたその音が忘れられず、チャンスがあればいつか手に入れたいと思っていたからです。でもルディ・ペンサとジョン・サーが別れてしまって、今やもう製造されていないベース。ほぼあきらめていたのですが、こんな簡単に見つけられるとは!

しかも驚いたのが、この楽器を調整してもらいに、アトリエZのマスさん(マス・ヒノさん。日野皓正さんのご長男で、ヒノケンジ君のお兄さん。今はNYに戻って、自分の工房でビルダーとして大活躍されています)の所に持って行ったところ、「ああ、これ僕が作ったベースだよ。ほら、ここにサインがある」といって、ベースの裏の蓋を開けて見せてくれたんです。
さらにさらに、「これ、今ボナが使っている、青いフレットレスと兄弟なんだよね。同じ時に、同じように作ったベースなの」だって!
ボナのフレットレスの音ってほんとうにいい音ですよね。僕もあの音は大好きだったのでが、それと同じものををこんな安く中古で手に入れることが出来たとは!
きっと日頃の行いが相当いいんでしょうね、僕って。

スペック:1992年製
Body Quilted Maple Top / Swamp Ash Back(?)
Fingerboard Rosewood
Peg Hipshot USA
Bridge Shaller 3 D4
PU Baltrini」
なんか、気持ちの高揚感が伝わってくる紹介ですね。
そしてこの楽器での演奏の模様もYouTubeにありますので、このベースがこんな音だということを知っていただくには持って来いなので、そのURLも載せておきます。
この映像は2007年7月、静岡県三島市のWave Clubというお店でのものです。
メンバーは、
Gt:布川俊樹
Kbd:小野塚晃
Dr:鶴谷智生(敬称略)
曲は、僕のリーダーアルバム、「三色の虹」に収録されている「Little Boy」という曲です。

かなりやっかいな曲なので、そのアルバムを1997年に出した以降は、ほとんど演奏する機会のなかった曲ですが、このときは主催者の強いリクエストをいただき、メンバー一同、なんとか頑張って演奏したというもの。
こうやって久しぶり見てみると、なかなかいい演奏ですね!
そしてみんな、若い!
それはともかく、やっぱりペンサ・サー、いい音してますよね。
ところがそんな気に入っていてこのベースを手放してしまいました。
僕の生徒だった、そしていま都内で大活躍しているベーシスト、山本連君に譲ったのですが、本人に確認したところ、2011年だったようです。
なぜこのベースを売ったかというと、この当時は、僕はメインの楽器としてフォデラの5弦を使っていました。ですので、このベースは本当に気に入っていたのですが、現場にはほとんど登場する機会がありませんでした。
特に、この曲のように、スラップが中心の曲でない限りは、どうしても多弦ベースの方が守備範囲が広いということで、もっぱらフォデラを使っていたからです。
やっぱり楽器って、ライブやレコーディングで使ってなんぼですよね。
いくらいいベースだからといっても、ケースに収納したまま倉庫に寝かしておくのは可哀想です。
ということで、苦渋の決断だったのですが、いいベーシストにもっと使ってもらえるようにと、譲った次第です。
ではなぜまたいま買い戻したのか。
それはまさに、先日サロンに投稿した、ビクター・ベイリーのインタビューがその理由です。
1997年のインタビューですが、その最初のところで、彼が自分のメインベースとしてのペンサ・サーのことを語っています。
それを聞いて、僕が、「僕も欲しいんです!」って答えているんですね。
その発言を読んで、「あ~、なんでそのベースをせっかく手に入れたのに、また手放したんだろう」という、強い後悔の念が沸き起こってきました。
そして、「いや~、やっぱりいい音だったよな。そういえば、動画がYouTubeにあったっけ?」ということで、投稿した動画を見てみると、「やっぱり、こりゃいい楽器だ!」となったわけです。
そこで、ダメ元で、この楽器を譲った連君にメールしました。
「以前譲ったペンサ・サーなんだけど、もしまだ持っていて、しかもあまり使っていないということなら、ゆずってもらえない?」と。
すると、「はい。いい楽器ですけど、あまり出番がありません。いいですよ。」と言う返事。
もう迷うことなく、買い戻したという次第です。
楽器とのつき合いっていろんなものがありますが、この楽器とは本当に紆余曲折ですね。
まとめてみると以下の通りです。

「1992年、マス・ヒノさんにより製作されたが、2005年に僕の元に来た。
2011年、山本連君に譲ったが、いまこうやって2020年に、僕のところに9年ぶりに戻ってきた。」
さて、この先、この楽器をどのように使っていこうか、今は思案中ですが、せっかくならどんどんライブシーンで使っていきたいとお思います。
すると、スラップをする機会も増えてくるかな?
そんなことで、是非この楽器を持つ納浩一をご期待ください!
ではせっかくなので、今僕がメインで使っている他の楽器との出会いも簡単に触れておきます。

コントラバス

コントラバスに関しても、僕のHPでその出会いを書いてますので、紹介します。
「僕がバークリーにいた、1986年に買った楽器です。
ボストン・シンフォニーホールの横のある、ボストン交響楽団御用達の楽器屋さんで購入しました。
べつにこのジュザックという楽器が欲しかったわけではなく、その楽器屋のおじさんに、何でもいいからいいベースが入ったら知らせてくれと頼んでおいたら、『ジュザックが数本はいったから』という知らせが来ました。そのなかの1本がこれです。
本当はこれよりワンランク上のものもあったので、そちらが欲しかったのですが、このベースが6300ドル(当時で90万円くらい?)だったのに対して、それは8500ドル位していて、資金が足りませんでした。
しかもいい方の楽器は、とっても綺麗で、すぐにでも弾けるような状態だったのに対して、僕の購入したこちらの楽器は、僕がそのお店で初めて見たときは、表板以外はすべてぐしゃぐしゃ。ほとんどバラバラ死体のような状態でした。

でもおじさんが、『いや、この表板がしっかりしているから大丈夫 !その分、とっておきの、太い黒炭の指盤をつけて置いてあげるよ。』ということで、渋々こちらにしました。
でもいまとなっては、それで良かったのかなぁ、なんて思います。
とにかく超々お気に入りの楽器。もうこれ1本でなんの不満もありません。
今まで、他のベーシストが使用している、本当に高価な楽器も弾く機会がありましたが、どんな楽器よりも自分に合っている気がします。
きっと生涯、これ1本で行ける気がしています。
まあ、自分が劇的にうまくならない限り、あるいは劇的に金持ちにならない限り。」

ということで、きっと劇的にもうまくもならず、金持ちにもならなかったので、未だにこの楽器で頑張っています。
この楽器のどこが良いかというと、とにかくバランスです。

小ぶりですから、そんなに大きい音は出ません。しかも、僕は自分の体格に合わせての、かなりのローアクションにセッティングしています。
もちろん僕自身、体格もありませんから、ブンブン鳴らそうとは思っていませんが。
とにかく、低域から高域までバランスの取れた音量と音質なので、僕のようなスタイルのベーシストには合っていると思っています。
しかし、26歳で買ったベースを生涯(おそらく)使い切るとは思っていませんでした。
これも運命ですね。
でもこの楽器で、これまでにどれだけのライブやレコーディングをやってきたことか。
皆さんの中にも、この楽器の音を耳にしている方が結構いらっしゃるはずです。
この楽器と出会えた運命に感謝しています。

Fodera 6弦

このベースに出会うまでは、「もう5弦で十分、6弦は使わない」と決めていました。
それまでも2本、Foderaの6弦を手に入れたのですが、最終的には、どうも自分自身がHigh-C弦を使い込なせないような感じがして、奏法上の問題で諦めました。
またその2本は、どちらもそのHigh-C弦の鳴りが、他の弦に関して弱い気がしたので、そのあたりも気に入りませんでした。「High-C弦ってこんなものなのかなぁ」といった不満もあったんですね。
ちなみに最初に買った6弦のFoderaは、アンソニー・ジャクソンの初期モデルで、購入は1990年頃だったと思います。なんでも日本のツアーに来ていたアメリカのミュージシャンが、お金ほしさに、渋谷の、たしかヤマハに委託販売して行ったそうです。

でもパッシブだったので、Hogh-Cだけでなく、Low-Bの鳴りもいまいちだったように思います。
結局、岡田次郎さんに売ったのですが、彼もその後、手放したそうです。
次に買ったのはアクティブだったのですが、こちらはとにかく重かった記憶があります。

さて、そんなことで、全く興味のなかった6弦ですが、2011年の東北大震災の後、名古屋在住の知り合いのアマチュアのベーシストが、「ちょっと震災で会社がしんどくなったので、買ったばかりのFoderaですが、もし欲しいという生徒さんなんかがいたら、紹介してもらえませんか?」ということで、とりあえず預かることにしました。
名古屋での仕事の時に受け取って、家に帰って早速試奏してみたら、これが驚き!
なんと低域から高域まで、本当にバランスよくなるではありませんか!
とにかく、初めてHigh-C弦がストレスなく鳴る6弦ベースに出会えたんですね。

もちろん、Low-Bの鳴りもご機嫌。しかも33インチなのに、です。
ショートスケールということで、僕の体格にもぴったし。
なんでもその人は、直接何度かNYのFoderaの工房に行って、ベニー・フォデラ始め、工房の作業員達といろいろやりとりしながら作ってもらった楽器だとか。
発注から完成まで2年近くかかったそうです。
この楽器は、いわゆるマット・ギャリソンモデルなので、シェイプやフレット数(26フレットまであります)、33インチというスケールなど、全てそのバージョンなんですが、ただ彼のモデルでの6弦というのは一般にはありません。全て5弦なんですね。

そんな特別な楽器ですが、今は完全に僕のメインベースとなっています。
どこに持って行っても、多くの方に、「いい音してますね!」といってもらえます。
特にスタジオのエンジニアには、「本当に音がクリアでバランスも良くて、録音しやすい」といってもらえます。
でもこの楽器も、あの大震災がなければ絶対僕のところには来ていなかったであろう楽器。
この楽器との出会いも、運命を感じます。
アコースティックベースに関しては、出会ってからほぼ35年、まったく迷うことなく、ただ1本の楽器でやってくることが出来ました。
一方、エレクトリックベースに関しては、一体今までにどれだけのベースと出会い、そして分かれててきたことか。

でも、2011年にこのFoderaと出会ってからは、全く迷いが消えました。そんなもんなんですね。
しかし今回帰ってきてくれたこのペンサ・サーで、もう少し自分の違う世界も表現できたらと思います。
楽器によって自分の表現方法に変化が生まれるというのも、これはこれで新しいチャレンジでおもしろいものです。
そんなことで、そんなことを期待しながら、また僕のライブに足を運んでいただけたらと思います。よろしくお願いします。

CODA /納浩一 - NEW ALBUM -
納浩一 CODA コーダ

オサム・ワールド、ここに完結!
日本のトップミュージシャンたちが一同に集結した珠玉のアルバム CODA、完成しました。
今回プロデュース及び全曲の作曲・編曲・作詞を納浩一が担当
1998年のソロ作品「三色の虹」を更に純化、進化させた、オサム・ワールドを是非堪能ください!