エレクトリックベース(以下El.B)とアコースティックベース(以下Ac.B)の両立に関して【オンラインサロン】

サロンの連載コーナー、「四方山話」の第5回は、エレクトリックベース(以下El.B)とアコースティックベース(以下Ac.B)の両立に関して、徒然なるままに書いてみたいと思います。
(全文はサロンにて公開しています)

僕がベースを始めた頃は、そのどちらもイーブンに弾きこなすというベーシストは、ほとんどいなかったと思います。
もちろん、Ac.Bをもっぱら専門的に弾いている人が、必要に迫られてEl.Bを弾くというような状況はありましたが、そういうときのその人のEl.Bというのは、El.Bの専門家からみれば、かなり「?」なサウンドでした。
例えばロン・カーターが、CTIレーベル制作のアルバムで弾いている演奏や、デイブ・ホランドがマイルスバンドで弾いてるEl.Bを聞いたことがありますが、僕には残念ながら「?」でした。

ではなぜ、彼らほどのAc.Bの名手でも、El.Bを弾くと「?」になるのでしょうか?
もちろんその逆も同じです。El.Bの名手でも、Ac.Bを弾くと「?」になりがちです。

それは、楽器としての技術的な問題というよりも、そのベーシストが聞いてきた音楽のバックグラウンドや、そのベーシストが持っている音のイメージの問題かと思います。
Ac.Bを弾くときにはAc.Bらしいサウンド・メイキングやフレージングが、逆にEl.Bを弾くときにはEl.Bらしいそれらが出来ないと、本当の意味での両立とはいえませんね。

どちらの楽器にも取り組んだ僕ですが、僕のように、もともとEl.Bから音楽に入り、そのあとAc.Bにも取り組んだという人は多いと思いますが、実際始めて見ると、Ac.Bはやはりあまりに大変だという理由で諦めたというベーシストは、プロでも相当数いるのではないでしょうか?
逆にAc.Bから入ったけれども、El.Bも始めたという人はあまり聞きません。きっとそれくらい、Ac.Bは奥が深いからなのかもしれませんね。特にクラシカルな音楽を真剣にやり出すと、とてもEl.Bの練習なんかやっている時間はないでしょうから。

さて前置きは長くなりましたが、ではAc.BとEl.Bの両立のために、僕がどんなことを大事にしてきたか、またどんな取り組みをしてきたかについて触れましょう。

1)基本は似て非なる楽器
そのチューニングや、弦が4本(もちろんどちらも、4本以上の弦の楽器はありますが)という点は一緒ですが、その奏法や、初期における、それぞれの楽器の基礎的な練習に関しては、全く似て非なるものといえます。

2)ある時点から、全く異なる楽器ではなく、多くが共通している楽器だと思えてくる
最初は全く異なる楽器に見えたAc.BとEl.Bですが、ある時期を境に、そこには数多くの、どちらの楽器にも共通する、双方向のアイデアがあることに気づき始めます。

3)両方の楽器に互換性のあるアイデアや練習を模索し、極力少ない時間で、どちらにも効果のある奏法や練習法を考える
僕はEl .Bを弾くとき、基本はAc.Bと同じ、薬指を使わない3フィンガースタイルにしています。
またその運指も、El.Bを弾くときに、もちろんEl.B特有の一つのポジションでの動きもやりますが、それに加えて、Ac.B特有の、横にどんどんポジション移動していく動きも多用しています。
逆にAc.Bを弾くときに、El.Bでやるような、1つのポジションでの動きはもちろん、他には、1弦と4弦を使った10度の和音なども頻繁に使います。
理論的なアプローチやグルーブに関しては、もう完全におなじですからね。

4)それぞれに特有のサウンドメーキングやフレージングをしっかり研究する
共通のアイデアといいましたが、やはり異なる楽器であり、それぞれに独特のスタイルやサウンドがあります。それぞれのサウンドメーキングやニュアンス、フレージングをしっかり身につけ、状況に応じて、その独特の個性を出せるように勉強しておく必要があります。

5)それそれの楽器に特有の個性を逆手に取る
一方、そのそれぞれに楽器の持つ独特の個性を逆手にとって、例えばEl.Bで、Ac.Bのような、包み込むような、深く重いニュアンスやサウンドを出せるよう、いろいろ奏法やサウンドメーキングを考える、逆にAc.Bで、El.Bでしか出せないような、エッジの効いたグルーブやサウンドに挑戦してみると、これがうまく出せればこれはこれで面白いサウンドになります。

6)とにかく持ち替えの練習をする
二つの楽器を両立して使う場合に、もっとも苦労するのが、ライブなどでの持ち替えです。
僕はこの楽器の持ち替えをトレーニングするために、バークリー時代もそうですし、また日本に帰ってきてからも、リーダーが「この曲はどちらの楽器でもいいよ。」といってくれるようなときは、大げさに言えば、曲ごとに楽器を持ち替えて、その違和感に慣れるようなトレーニングをやっていました。
もちろん、そのために、アンプヘッドやキャビネット、プリアンプやAc.Bのピックアップ等々の機材に関して、本当に様々な試行錯誤をしました。
その結果、いまどんな機材を使い、また楽器のセッティングはどのようになっているのかは、僕のHPやライブを見てもらえればわかるかと思います。

Ac.BとEl.Bの持ち替え、それも、そのそれぞれの楽器で本当にそれらが持つ楽器の特性を生かせるような意味での持ち替えは、実に大変です。
楽器の奏法や技術的なことの習得一つをとっても、単純に、どちらかしか演奏しない人の倍は勉強・練習しないといけないわけですからね。
さらには、ライブでのセッティングや音作り、フレーズやサウンドの研究等々、克服しなければいけない課題は山のようにありますが、でもそれらが出来るようになれば、それはそのベーシストにとって、大きな個性となり、武器となります。
このサロンでも、どちらの楽器もやっているという方は多いかと思います。
本当の意味での持ち替えが出来るベーシストを目指す方にとって、このコラムがなにかヒントになれば幸いです。

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45年のベース歴、30数年のプロ活動
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