今日、ラジオのとある番組を聴いていたら、社会学者の宮台真司さんが日本の映画事情に関して、コメントされていました。

おおまかにいうとこうです。
日本の昨年度の映画の観客動員数は、かなり良い数字を残したそうです。これは日本映画界にとってとてもいい話ではないのか? 
実はそう単純な話ではないのだそうです。
昨年特に多くの観客を動員した映画というのは、「アバター」「不思議の国のアリス」「トーイストーリー」という洋画3本と、スタジオジブリ作品の「借りぐらしのアリエッティ」だそうです。
そう、3Dとアニメなんですよね。
でも洋画よりは邦画のほうが動員は多かったそうです。
じゃあ、これっていい話? 
いやいや、そう単純ではないのです。
結局は映画の内容そのものが問題なんですよね。
確かに、僕も映画が好きでよく映画館にもいきますが、本編の前に流れる邦画の宣伝をみると、どれもこれも人気タレントが主演していて、「これって彼らの宣伝のための映画?」というような映画ばかりだなと感じていたのですが、宮台さんもそのあたりに触れていました。
彼曰く、欧米や、最近その質が非常に高くなっている、日本以外のアジアの映画は、監督がその映画を通して何を表現するかというところが最も重要なポイントであるに対して、そういった日本映画は、結局はなにかの宣伝のネタでしかないということのようです。
で、多くの人がその映画を見に行くのは、そのネタをみんなで共有したいからだということなんですね。ここらあたり、とっても日本人らしいですね。
たとえば数年前にロードショーされた、リメイク版の「日本沈没」ってありましたよね。
僕もたまたまテレビで見たんですが、あれがヒットしたのは、インターネットなどに多くの人が出した、「これはほんと、ひどい!」というような内容の短いコメントが広まって、「そんなひどいのなら、一度見てみたい!」ってことで、多くの人がいったそうです。多くの人が「ひどい映画」という情報を共有したかったわけですね。まあ、これじゃあ宣伝にもなんにもならないと思うのですが。
宮台さん曰く、日本にはまともな映画評論雑誌やそういう媒体がほぼ皆無なんだそうで、結局みんな、インターネット上に出されるそういった簡単なコメントに触発されて見に行くんだそうですね。

もうひとつの話。アメリカやヨーロッパの学者仲間との会話の時に、ちょっと話題に困ったときには、映画の話をするそうです。すると向こうの人達は大抵の話題の映画は見ているらしく、その内容や表現方法、社会的な背景などに関して話が尽きないそうです。ところが日本においては、学者をはじめとした、そういった方面の人とは、なかなかそうはならないといってました。そういう方々が、あまり映画を見に行かないらしいのですね。
そういえば、僕も映画館に行って、年配の人が少ないのはちょっと気になっていました。
確かに単館などで上映されている、かなりマニアックな映画や、メッセージ色の強い映画では、年配のカップルや女性同士の仲間といった方々をみかけたりしますが、いわゆるシネコンなどにはあまりいませんね。
しかも、全体の観客動員数は増えているのに、そういった単館はどんどん閉鎖されているというようなこともいってましたねぇ。
さらにさらにもうひとつ、日本の映画のポスターでは、監督の名前の表記があまりに小さすぎるともいってましたね。それに比べて韓国映画などでは、監督の名前がとっても大きく表記されているそうです。気がつかなかったなぁ。
確かに良い邦画も無いわけではないですが、それをみんなに奨める方法もなければ、映画を見る側も、自分のアンテナを張って、「これはいい映画だ!」といったものを見つけることも、人に知らせることもなかなかしにくい状況みたいですね。

で、この話を聞き終わった時に、「はて、これってどこかの何かの話によく似ているんじゃない?」って思ったわけです。
そう、それは最近僕がよく話題にする、まさに僕が関わっているジャズです。
「自己を深く探求した上での、自己表現としてジャズを演奏するというよりも、売れるためのネタのひとつとしてのジャズ」というあたりもしかり。
「良いジャズを多くのジャズファンに知らせるための媒体がない」というのもそうかも。
「表現手段としてのジャズ」というようなことを真剣に議論するような人も、ほとんど見かけなくなりましたね。今は廃刊になった某ジャズ雑誌の、70年代頃のバックナンバーを読んだ時に、その記事なかで、喧々諤諤のジャズ議論をしていたのには本当にびっくりした記憶があります。
「何となく巷で話題だから、そのミュージシャンの演奏を聴きにいく」あたりもそうですよね。
「気合いの入ったジャズが聴ける店は、営業には苦戦」ということもそうですねぇ。
「目(耳)の肥えていない客であろうが、とにかく動員を増やすためには、そういった客のレベルに内容を合わせる」といった姿勢も、同じでしょう。

まあ、自分自身のことを考えた時に、本当に気合いの入った映画を作っている映画人と同じくらい努力しているのかと自らに問えば、「もちろん!」といえる自信は全くありませんが、それはさておき、あまりに状況が似通っているので、対岸の火事とは思えないところがあり、思わずこのブログに書いてしまいました。

でも状況が似ているとはいえ、決定的に違うところが一点あります。
映画は、そうはいっても動員数が増えているのに対して、ジャズはといえば….。

さてみなさん、これを読んでどんな感想をお持ちでしょうか?
これを書いた僕自身はいつものようにちょっとめげていますが、でも頑張る所存です!
そして、良い映画をもっともっと見たいですね。
そしてそして日本の良識ある映画人の皆さん、くじけず頑張ってくださいね! 影ながら応援しています!

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